【まとめ】海運入門!!【第1回】

元々書こうと思っていたことを書きます!!

 

ひょんなことから、昨年から海運業界で働いています。

出身は海なし県なのに、なぜか船には縁がある人生であります。

海運業界というのは、専門の学校があるくらい、専門的な知識が必要な業界でもあり、学びに終わりがない世界だなあと感じています。

なので、こうして振り返ったりしながら知識を定着させていきたいです。

今回は、ざっくり、なぜ海運が必要なのかと、海運の興りを書いてみました。

 

1.なぜ海運が必要?

そもそもなぜ、人々は、わざわざ海を使って物を運ぶのでしょうか?

 

地球の表面積の10分の7は水です。大陸も分断されており、島国も多くあります。

パンゲアパンゲア大陸 - Wikipedia)のようにすべてが陸続きの世界ではありません。

 

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重要なポイントは、資源の偏在(=かたより)です。

例えば石油は中東、アメリカ、ロシアといった国に殆どが存在しているとされています。鉄鉱石はブラジル、オーストラリア、石炭はオーストラリア、アフリカ、インドネシア等。

また、モノづくりに秀でた国や企業も偏在しています。サービス業が得意だとか、単に人口が多く消費地になる国もあります。日本などはよく「資源がない」国と言われます。多くの資源や製品を輸入しているのです。ちなみに、こうした日本のような国は、物理的な資源はあまりないかもしれませんが、「労働力」や「技術力」があり、これらも立派な資源です。

 

さて、そんな資源が偏在し、人口の広がりもまばらな状況の中でそれぞれの場所にいる人たちがある程度同じような水準で生活(例えば屋根のある家で暮らし、穀物と肉を食べ、車や電車を使い仕事場に行き働く)をしようと思ったときに、偏在しているものを運ぶ「仕組み」が求められます。それが貿易です。

A国にある製品AをB国が買う、そして製品AがB国まで運ばれ、B国がA国にお金を払う。

では、どう運ぶか?二国が陸続きの国なら、トラックでも鉄道でも使って運べますが、海が隔たっている場合、別の輸送手段が必要です。船です。ここに、共同出資や保険や様々な概念や利害関係者が加わって、現代の海運業が生まれました。とても複雑な世界です。

 

簡単にまとめると、海運は、偏在する資源(またその成果である製品)を海の向こう側へ届けるため存在するのですね。いわば資源の再分配。あたかも神が気まぐれで偏在させた資源を、人間たちがどうにか知恵を絞って世界中にいきわたらせてる、「シムシティ」とかのシミュレーションゲームにありそうな世界観です。

 

2.海運の興り

 

実際の海運「事業」の興りは、紀元前10世紀の古代オリエント時代のフェニキアだといわれています。船を造るのに適したレバノン杉が豊富にあったので、自分たちで造船し、同地はメソポタミアギリシャを結ぶ地中海貿易の要として重要な役割を果たしました。

ちなみにレバノンの国旗にはいまもレバノン杉が描かれています。

 

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当時はガレー船といって人が櫂(オール)を漕いで進む船でした。

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その後は風を利用した帆船、そして石炭動力船の時代を経て、今はバンカーオイル(BUNKER OIL)といういわば「船のガソリン」を用いた動力船で世界中で貿易が行われています。

最近では、LNGを燃料とする船も建造されてきていますが、問題は電気/水素自動車と同じで、供給インフラにあります。燃焼する際の排気ガスの観点で言えば、LNGの方がクリーンなのは間違いないですが、船に燃料を供給(バンカリングといいます)するための拠点としてはやはりバンカーオイルの方が今は圧倒的多数です。

 

今回はここまでにして、次回は船の種類についてまとめてみます。

 

なおこのシリーズは田村茂氏の「不定期船実務の基礎知識」を参考にしています。

借りものですが、10回くらいは読みました。